==================================================================================================== ラジオドラマ「日雀堂妖怪日誌」(ひがらどう ようかいにっし)/第一話「ドキッ★妖怪だらけの新学期」 脚本/さのや ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 【概要】 祖父の経営していた古道具屋「日雀堂」でこの春から一人暮らしをすることになった立花。 しかし、その日雀堂には付喪神の慧士が住み着いており、近所の人間は妖狐に天狗。 学校に行っても妖怪に囲まれている立花は、もとの日常に帰りたいと願うのだった。 【脚本中記号について】 「」…キャラのセリフ(括弧なしはモノローグだと思っていただければ!) ()…状況説明・セリフの演技指定 ※ …前後の状況説明など 【他】 ・セリフの方は言い辛ければ言いやすいように語尾・言い回しを変えていただいて構いません。 ・作中の時期的には4月上旬を想定しています。 【キャラクター】 日雀立花(ひがら りっか)15歳/高校生/声質:元気の良い、中〜高の少女声  両親の海外出張を機に一人暮らしを始めた学生。  祖父の経営していた古道具屋「日雀堂」へと越してくる。  ツッコミ。順応は早い。親御さんに甘やかされてたのか結構ワガママっ子。 日雀慧士(ひがら けいし)外見10歳くらい/男の子/鏡の付喪神(つくもがみ)/声質:少年or子ども声  主人公の住むことになる「日雀堂」に住み着いている妖怪少年。マイペース。  無機物と話すことができる特技を持つ。  100円ショップで買い物するのが趣味。 楠はるか(くすのき −) 外見20代/女性/妖狐/声質:低〜高の女性の声  日雀堂の常連さんで、主人公の高校の非常勤講師。だが妖孤。  実は「狐流 遙」(こりゅう はるか)というPNで歴史小説作家もやってたりする。  狸嫌いらしい。 相原幸(あいはら こう) 外見15歳くらい/男性/天狗/声質:中〜高の少年声  白い羽を持った少年。天狗だが天使だからしい。  昼寝が大好きで日雀堂の縁側でよく勝手に昼寝している。  高校生の振りをして学校に通ってるが授業中も寝ている。何の為に学校にいるのか。  主人公のクラスメイト。歌とフルートが得意らしい。 ==================================================================================================== シナリオ本文 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 日雀慧士(以下・慧士)/k01:日雀堂妖怪日誌 第一話「ドキッ★妖怪だらけの新学期」 (※タイトルコール) (※以下、主人公のモノローグ) 日雀立花(以下・立花)/r01:私の名前は日雀立花(ひがら りっか)。入学したばかりの高校一年生。               仕事の関係で海外へ出張する両親と離れ、この春から念願の一人暮らし。               …そのはずだったんだけどなぁ。 (※OPBGM〜足音。地図を持ち、古道具屋の前で立ち止まる立花。) 立花/r02:「えーと、日雀堂…ここか。」(確認するように店の名前を読み上げる) 立花/r03:この春から私は、去年死んだおじいちゃんの経営してた古道具屋…      …「日雀堂」に住むことになった。      おじいちゃんには小さい頃くらいしか会ったことなかったし、よくは覚えてない。      古道具屋をやってたって言うけど、店の様子を見る限り、趣味でやってたようなものなんだろうなぁ。 立花/r04:「うわー、玄関からして年季が入ってるというか何というか…えーと、鍵は、っと。 …あれ?開いてる?」 (※効果音:ガラガラ、と玄関の扉を開ける音) (ちょこん、と和服の少年が店内に座っている) 慧士/k02:「あ、いらっしゃいませ!日雀堂へようこそ!」 立花/r05:(休業中かと思った所に人が居て呆気に取られている)「…なんで扉が開いてるの?」 慧士/k03:「そりゃあ、営業中ですもん。閉まってたらお客さんが入れないですよ」 立花/r06:「じゃなくて、なんで店の中にいるの?」 慧士/k04:「そりゃあ、この店のものですもん。それに、お店の外にずっといるのはまだ寒いですし」 立花/r07:「じゃなくて!どうして勝手に店の中に入ってるって聞いて……この店の?君が?」 (前半勢いよくツッコもうとして、途中で勢いが削がれた感じ) 慧士/k05:「えぇ。確かえーと…立花さんですよね。お孫さんの。     高士(たかし)さんからお話を聞いたことがありますよー」(のんびりと) 立花/r08:「高士…?あぁ、おじいちゃんの名前だっけ。なぁんだ、おじいちゃんの知り合いかぁ」(ほっ、と) 慧士/k06:「僕は日雀慧士(ひがら けいし)と申します。高士さんには生前いろいろお世話になりましてー。     …あ、お茶どうぞ。」 立花/r09:「あ、どうもどうも。…って、うちのお店のお茶じゃないの。     …慧士くん…だっけ。君、店番の手伝いでもしてたの?」(受け取ってお茶を飲もうと) 慧士/k07:「いえ、僕はこの店の商品ですので」(きっぱり) 立花/r10:「ぶっ!!」(飲もうとしたお茶を吹いた) 慧士/k08:「うわ、大丈夫ですか!?」 立花/r11:「じ、人身売買!?おじいちゃん、そんな危険な仕事をこんな地味な古道具屋で!?     その影には麻薬シンジケートの暗躍が!迫り来るFBI捜査官、そして衝撃の結末が…!     …って、逸れてる場合じゃない!冗談言わないでよ!!」 慧士/k09:「冗談じゃないですよ!本当ですもん!」(ぷー、と怒って) 慧士/k10:「僕はこの店にある鏡の付喪神(つくもがみ)なんです。     こう見えても立花さんよりかなりな年上なんですよ!」(えっへんと) 立花/r12:「つくもがみぃ?何よそれ。     …確かに、おじいちゃんは昔から売れ残ってるぼろっちい鏡を大事にしてたって聞いたことあるけどさ…」 慧士/k11:「売れ残りじゃないですよ、シツレーな!!     …こほん、長年大切に扱われてきた道具は、稀に意志を持って、僕のように実体を伴った姿になることが     できるようになるんです。つまりは僕はそれだけ長〜く大事にされてるってことです。     えっへん!すごいでしょ!」(得意気) 立花/r13:「ふーん、つまりそれだけ長〜い間売れ残ってると…」 慧士/k12:「だから売れ残りじゃないんですってば!シツレーですね!」 立花/r14:「…ていうか、君、頭大丈夫?熱があるなら家帰って寝てた方がいいよ。     ちょっと前まで風邪とかノロウィルスとか流行ってたみたいだし。」(真剣に) 慧士/k13:「…信じられてない…!」(ががーん、と) 慧士/k14:「本当に本当なんですってば!どうして信じてくれないんですかー!」 立花/r15:「はいはい、妖怪なのね。わかったわかった。」(信じてない) 立花/r16:「じゃ、妖怪の慧士くん。私、今日からここに住むことになってるの。店番終わったらおうちに帰っていいわよ」 慧士/k15:「だからー、僕のおうちもここなんですって…」 慧士/k16:(思い出したように)      「あ、そういえば立花さんがこのお店に来たのって、高士さんに変わって日雀堂の店長になってくれる為ですか?」 立花/r17:「えー!?私はこんな儲かってなさそうな古道具屋の店長をやる為に引っ越してきたわけじゃないの!      べたべた甘やかしてきてうっとおしい両親から離れて、自立した一人暮らしをする為なの!」 慧士/k17:「儲かってなさそうな…!?       そ、そりゃあ、ここ数ヶ月収入もないですけど一応たま〜には物が売れることだって…」(しょんぼり) -------------------------------------------------------------------------------------------------- (わーわー騒いでるとこに、ガラガラと引き戸の音がして女性が入ってくる) 立花/r18:「あ、誰か来た。お客さん?こんにちはー。」 はるか/h01:「こんにちは…って、あらあらまあまあ。私達以外にお客がいるなんて珍しいじゃない。明日は雨かしら」 慧士/k18:「こんにちは、はるかさん!       酷いなぁ、確かにいつもお客さんは居ませんけど…立花さんはお客さんじゃないですよ。       新しい日雀堂の店長なんです!」 立花/r19:「勝手に決めないでよ…私は古道具屋を経営する為に越してきたんじゃないもん。       一人暮らしがしたかったからだもん。…あとさ、知り合い?」 慧士/k19:「ええとですね、この近くに住んでるはるかさんです。はるかさんは歴史小説家なんですよー。」 立花/r20:「わぁ…小説家なの?すごい!…ていうか、良かった。近所の人は普通の人みたい…」 慧士/k20:「ちなみにはるかさんはすごーく長いこと生きてる妖孤なんですよー」 立花/r21:「普通じゃなかった!!…気付いたら狐耳とかあるし!」 はるか/h02:「すごーく、だなんていやぁね。たったの2911歳程度よ。」 立花/r22:「十分長いよ!!」 はるか/h03:「賑やかな子ねぇ。高士さんが亡くなってお店が閉まっちゃうんじゃないかと心配したけど、        こんな若い子が来てくれたなら私達も一安心だわ」(楽しそうな口調で) 立花/r23:「そういえばさっきから「私達」って…外に連れの人でもいるんですか?」 はるか/h04:「えぇ、さっきからあなたの座ってるとこに一人いるでしょ。」 (立花、同じ年くらいの翼のある子を座って踏んでる) 幸/a01:「むにゃ…うーん、うーん、重いよぅ…」(寝言) 立花/r24:「わぁっ!?いつの間に!!?」 慧士/k21:「立花さん、ずっと踏んじゃってましたね」 立花/r25:「早く言ってよ!ていうかこんだけ踏まれたなら君も起きなさいよ!!」(後半幸に) 幸/a02:「うーん、あと5分寝かせてよ、トニー…」(寝言) 立花/r26:「私、トニーじゃないし!!」 はるか/h05:「この子は相原幸くん。えーと、確か…天狗だったかしら。」(思い出しつつ、っぽく言う) 立花/r27:「あ、ホント、翼がある。へぇー、天狗なんだ。…って、なんか慣れ始めてる自分がイヤー!!!」 立花/r28:「…なんか、頭痛してきた。あのー、今日の所は帰ってもらえませんか?お願いします…」(脱力した感じで) はるか/h06:「あらまあ、私、来たばっかりなのに〜」 立花/r29:「これから引越しの荷物を片付けたり、学校の準備したり忙しいの!!」 幸/a03:「う〜、まだ眠い…」 立花/r30:「家で寝て。」(きっぱり) 立花/r31:「あー、もー。とにかく帰った帰った!」(無理矢理にはるかと幸を帰らせる) はるか/h07:「あらまあ…」(追いたてられて呆れたように)       「じゃあね、立花ちゃん。これからよろしくね〜」 幸/a04:「これからよろしく………帰って寝よう」(眠そうな様子で) (バタバタ、と足音の効果音/続いてガラガラと引き戸の音) 立花/r32:「…よし、今までのは見なかったことにしよ。わー、ここが私の新しい家かぁ…!」      (後半、わざとらしい感じで希望を込めた声で) 慧士/k22:「立花さん、今日は夕飯どうします?引越しした後だから引越しそばがいいですかねー?」      (のんびりマイペースに) 立花/r33:「ま、まだいたの?君も早く家に帰りなさいって。」 慧士/k23:「だから僕はここが家ですってばー!」(ぷんすかぷんと怒った感じ) 立花/r34:「…はぁ、もう付喪神だろうが座敷童だろうがなんでもいいわよ。       私、蕎麦好きじゃないからうどんがいい。」(がくり、と根負けした。疲れた感じで) 慧士/k24:「はーい、じゃあ立花さんの分はうどんにしますね!」(楽しそうな感じ) -------------------------------------------------------------------------------------------------- 立花/r35:引越し早々にいろいろ有ったけど、気を取り直して次の日は入学式。 新しい学校、新しいクラス。私の高校生活が今日から始まる。 せめて学校では妖怪とかそういうのとは無縁でいたいんだけど… 立花/r36:「…って、なんであなた達がいるのよ!」 はるか/h08:「あらあら、立花ちゃん、偶然ねぇ。私、本業は学校の先生なの。」 幸/a05:「一緒のクラスかぁ。よろしく。」 立花/r37:「私は普通の日常的な高校生活を送りたいだけなのに!どうして周りは妖怪変化ばっかりなの!?     普通の日常に戻りたいー!!」(泣きそうな感じで) 慧士/k25:「立花さーん、お弁当忘れましたよー。」(のこのこ届けにくる) 立花/r38:「あ、ありがとー。って、学校に妖怪全員集合してる!?家帰れー!!」 慧士/k26:こうして立花さんの、妖怪だらけの不思議な日常は順調にスタートしたのでした。めでたしめでたし。 立花/r39:「めでたくないっ!!」 -------------------------------------------------------------------------------------------------- ※BGM+キャストコール 立花/r40:日雀立花・(キャスト名) 慧士/k27:日雀慧士・(キャスト名) はるか/h09:楠はるか・(キャスト名) 幸/a06:相原幸・(キャスト名) 慧士/k28:「日雀堂妖怪日誌 第一話。これにて終劇。 編集・(編集者名) 脚本・さのや 製作・提供は「Homework+」でお送りしました!」 ====================================================================================================